A白さとできらめいている。遠くからは見えないけれども、その浅い石井戸のようなものの中に、あんまり高くない石の台があった。丁度、大きい男がひざまずいてのばした首がのるぐらいの高さで、――そして、太い鎖がたぐまって、その台の下に落ちていた。ここが、昔モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]がロシアの首都であった時分しばしばつかわれた有名な|首の座《ローブヌイ・メスト》だった。ステンカ・ラージンも、プガチョフも、この首の座で、彼らのちぢれ髪の、髯の濃い、太い農民の首を斬られて血を流した。自分の名をかくことさえ知らなかったその時代のロシアの民衆の呻《うめ》きを彼らの呻きとし、母なるヴォルガの流れをさかのぼって、当時のモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]の暴虐者ツァーに肉迫した。ステンカ・ラージンの歌は、雄々しさと憂愁とをこめたメロディーで外国へもひろまっている。
ひろい雪の上でさえぎるものない視線に、この首の座とクレムリンの城壁から林立している金の十字架の頂きを眺めあわせると、伸子は、いつも激しい叙事詩の感銘にうたれた。代々、いろんな人たちが、名のないステンカ・ラージンやプガチョ
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