スちをもてなした。正式の集会のあと、富農の家で村の多勢が集って活溌な討論をつづけ、「二人の客」が疲れて眠りについたのは、もう大分の夜更けだった。ロシアの村でよくもてなされた、というからには、二人の若い指導員たちは、話すことと同量にたっぷり食べ、また、たっぷり飲んだことだったろう。「二人の客」は特別のもてなしの一つとして、柔かくて、いい匂いがして、最も寝心地のよいところとされている乾草小舎に泊められたのだった。
すると、夜あけ前に、その乾草小屋から火が出た。「村の連中は何しろ、おそくまでうちこんで討論したあげくだから、疲れていた」と、その通信員は村の誰かれの話を引用していた。「主人も、ぐっすり寝こんで、火が乾草小舎をつつんでしまうまで気づかなかった」。やがて火事が発見され、村のスリ半《ばん》がうちならされた。村人たちが現場へかけ集った。焔はすでに乾草小舎をつつんでいる。勇敢な一人の若者が火をくぐって小屋にかけよったが、錠がかけられていて手の下しようがなかった。「二人の客」は完全な二つの焼死体となって焼跡から発見された。地方の警察につれてゆかれるとき、その主人である富農は、こう呟いて地面へつば[#「つば」に傍点]をはいた。「ウフッ! 指導員! 乾草小舎でタバコは禁物だってことさえ知りやがらねえ。奴らのもって来るのはいつだって災難きりだ」。しかし、その晩、「二人の客」を乾草小舎へ送りこんだ連中の中の一人の農民は次のことを目撃していた。タバコを吸っていた一人の指導員は、小舎に入る前に戸の手前でタバコをすてて、それをすっかりふみ消した。「二人の客」は酔っているというほどではなかった。どうして、乾草小舎に錠をかけたかという質問に対して、富農は答えた。ヘエ、訊きてえもんだ。お前のところじゃ、乾草どもが、自分で内から小舎の戸じまりでもしているところなのかね。俺は客人に間違ねえように、と願っただけだった。自分でやけ死んで、こんな迷惑がおころうとは思わなかった。――
この物語や、討議しているうしろの窓から狙撃されて死んだ政治部員の話。橇で林道を来かかった地方ソヴェトの役員の上へ、大木が倒れかかって来てその下につぶされて死んだ話。それらは、みんな伸子に、二十歳を越したばかりだったゴーリキイが、人民主義者《ナロードニク》のロマーシンといっしょに暮したヴォルガ河の下流にある村での経験を思
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