れていることでもあります。もう一歩深めてこの問題を考えると、作家と読者の直接な結びつきを求めることの中には、作品とそれに対する批評と読者大衆との生きた関係についての問題が含まれているようです。
第三回大会の時にも、民主主義批評家の評論活動がむずかしいということや、批評が作品をもりたてないということや、批評活動に民主主義文学運動としての統一性が欠けていることなどが検討されました。一年経った今日の大会でも批評の問題は、すっかり解決されきっていないようです。
大体民主主義文学運動における批評または評論活動の一番大事な要は何処にあるでしょう。民主主義文学運動の批評が、すくなくともブルジョア文学における観賞批評でないことはあきらかだし、人民の民主主義的課題という広い基盤に結び合わされながら、文学の独自性において活動しなければならないことも分り切ったことだと思います。世界文学は、プロレタリア文学運動が文学作品の価値評価を主観的な内在的な評価のよりどころから解放して、もっと客観的な社会的な外在的なものにしたことではじめて本質的飛躍をとげました。日本では、この文芸批評の正当な伝統が戦争によっておそ
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