やら覇気を失っていることが、私に何か心を痛ましめる惜しさを感じさせたのであった。
 画の新しさ・主題・手法・色彩の溌溂として新鮮な感覚というものは、然し、末梢的な狙いで、ただ色よりも線でのデッサンを主にするような試みだけで獲得しうるものでないであろう。私は、いろいろの点で、帝展の数百点の画からは、かくあってはならぬ、という芸術上の教訓の具体的な例を見てかえって来たのであった。[#地付き]〔一九三四年十二月〕



底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年7月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
   1952(昭和27)年8月発行
初出:「婦人文芸」
   1934(昭和9)年12月号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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