。私は話に聞く彼の気性又は帰朝後一致されなかったすべての周囲の状態を思い浮べると、病院の飯は不美味いと云うのは極く極く表面的な理由であったろうと云う事に思い及ぶのである。
彼は死ぬまで彼自身でありあらせ様とした。此頃は、或点までは彼が随意的の死にを□[#「□」に「(一字不明)」の注記]たのであろうと云う断定に近づいて居る。
私は彼が聞けば笑いそうな想像、あてずっぽうを云って居るかもしれない。
けれ共彼にとってはもう皆な済んでしまった事なのである。
よろこびも悲しみもなく彼の上の土は肥え草は茂って行く。
それ丈は常に間違いのない事である。
底本:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社
1981(昭和56)年12月25日初版
1986(昭和61)年3月20日第5刷
初出:「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社
1981(昭和56)年12月25日初版
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2008年8月4日作成
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