らの若い人々の運命がきびしくなろうとするとき却って若い人々をおどらす太鼓が鳴ったのを思いおこしました。
 どっさりの方がそうでしたろうと思います。
 ここにわたしたちの生活に即した考えのいとぐちがあり政府が奨励する町の踊りについての民衆の声《判断》があったわけです。みんなが考えたことをみんなが表現する自信さえもったら、社会の進歩のための輿論は活発になります。私たち自身の豊富さもまします。
 題もつかないたった数言の考え、それを私たちは大切にしたいと思います。考えるということをむずかしくいかめしくとり扱わず、私たちが生きているからには考えずにいることはないという、考えて黙っているわけもないというあたり前のことに扱いなれたいと思います。そして、すべての人は案外鋭くものを考えているものだということを互に信用したいと思います。
 いい考えは、むずかしい本をよんでいるときに浮ぶのではなくて、真面目にものをうけとる心さえあればいい音楽をきいていて、十分深い思慮を扶けられるものであり、ユーモアは、社会批判であることを知りたいと思います。
 そして、私たちの考える能力をこれまでのかたくるしい修養修養と
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