若者の言葉(『新しきシベリアを横切る』)
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)人《ひと》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]
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 この本に集められている作物は、殆どみんなモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]で書かれたものだ。一九二八年の春から、一九三〇年の秋まで。少し、日本にかえってから書いたものも入っている。
 ソヴェト同盟における三年間の滞在は、実に自分に多くのものを教えた。階級的にどう生きるべきかということを自分に教えたのも、この三年間の見聞の結果だ。自分は本からの理窟でなく、日常の生活から、体でそれを学んだ。
 ところで、この旅行記一巻の中に、そのように一人の日本女をこね直したほど強力な、ソヴェト同盟の社会生活の全幅がもられているか?
 いや。ここに集められている旅行記は断片的だ。それに、書きかたが、多く、自分の古い技術のかた[#「かた」に傍点]によって書かれている。つまり、まあ気取
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