分空白)」の注記]に居たらしかった。
一日二日居るうちに気の利く事はたしかに分った。
けれ共それがわかると同時にやたらにすれてる事もわかった。
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喰わされものだ。
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千世子はこんな事も思って居た。
自分の時間になるとしきりに小説めいたものを書いて居るくせに家がやかましかったから芝居を知らない活動も見た事はないなんかと云って居た。
お品ぶっていやに取りすました様子をした。
何か軽口にじょうだんを云って、
「ハハハハハハ」
と鼻の先でヘラヘラ笑いをする「きよ」の顔を見ると千世子は、
「ヘッ、」
と云ってやりたい様に思った。
咲は毎日毎日の事をほんとうに念入りに清に教えて居た。
「西洋洗濯から取って来たシーツはここに入れてね、
肌襦袢に糊をつけたのはおきらいなんですよ。」
寝部屋からそんな事を云って居るのが聞える事もあった。
食事の時なんかに千世子の好きなものとそうでないものとを教えて居るのなんかを聞くと何だか悲しい様な気持さえした。
「でも納豆と塩からなんかがおきらいな位ですもの、困りゃあしませんよ。」
と云って居るのもき
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