て監視しなければならない性質のものである。先に云ったように作家同盟の構成が自身のうちに、その社会的要因をふくんでいる。左右両翼への危険は、小市民性を社会的要因とするものであることをわれわれは知っている。その克服は一人の個人をやっつけることにはなく、その偏向の社会的要因を、できるだけ早く根底から克服することであることをも知っている。全作家同盟の「労働者化」の課題の重要性が、今や新しい光に照らされて、立ち現れるのである。
作家同盟の「労働者化」は組織活動の大衆化と既成の作家即ちわれわれ自身が企業へ直接結合することなしには行われない。
労働者・農民からの新しい文学の働きてがどしどし送りこまれること、既成の作家が、客分としてではなく日常活動において企業内サークルと結合することによってこそ、文学におけるプロレタリアートのヘゲモニー・党派性は確立され、組織内における小市民性の残滓の減少によって、左右への動揺の危険から高まり得るのである。
企業内サークルへの結合。このことを実践するためにも、逸脱の危険から全運動を守るためにも、先ずわれわれは、全運動の積極性を鈍らす自身および組織内の右翼的傾向と
前へ
次へ
全26ページ中24ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング