のまれた原稿を書く。
二十五日
ひどい雨、英男朝四時頃、岡部氏に行きがけ青山に原稿を届けてくれる。A一緒にかえる。自分夕方Aとかえり、夜原稿が不満なのでなおす。
二十六日
古川氏の原稿をしまう。とりに来ず。違約か。午後縫いものを始む。
二十七日
罹災民に送ろうと思う着物縫いにかかる。殆ど一日。処々へ見舞。
甲府の渡辺貴代子氏来罹災民への衣類寄附の為、三宅やす子、奥むめおその他と集ってしようと云う。主旨賛成、但、彼女の粗野なべらんめえ口調にはほとほと参ってしまった。
二十八日
英男縫いものの材料としてまとめて置いたぼろを持って来てくれた。一包だけ。
母上には困って居る人間の心持がわからないのだろう。困る。心持がわるかった。
九月六日に聞いた話
◎朝、鎌倉の倉知の様子を見に行った小港の兄、自転車にのって行かえり、貞叔母上、季夫、座敷の梁の下じきになって即死し、咲枝同じ梁のはずれで圧せられ、屋根から手を出し、叫んだのを、留守番の男が見つけききつけかけつけて出そうとして居るうち、ツナミが来たので、あわててそのまま逃てしまった。咲枝気絶してしまって居たところに、
前へ
次へ
全21ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング