歴史の性質を示すところの日本のファッシズムの実相であると理解している社会的政治的現象を、村松五郎氏は、「本質的には『封建的勢力の増大』であるにもかかわらず、それが表面ファッシズムの外形を取っている」といっている。たとえば、
「第三に、ファッシズムは、資本主義独裁の形態であり、プロレタリアートへの徹底的弾圧をその中心任務とする。日本の支配権力は自分の地位のため、現体制を守る。〔三四字伏字〕(復元不可能であるが、日本の支配階級は、対立する社会的経済機構である労働者階級に、という意味であろう。)、全面的な攻撃を加える。社会的経済構成としては違った二つの社会を維持するために同一の手段がとられることから、一寸見るとまどわされて、歴史的にも階級的にも全くちがう本質を同じ物に見る危険性がある」という如き、むしろ筆者の意企を諒解するに苦しむような結論に到着しているのである。
「プロレタリア文化戦線の見透し」において、北氏は封建的イデオロギーの重圧がきびしい日本の大衆の現実生活と結合した文化政策は、「〔九字伏字〕(復元不可能)特殊性と多様性を全体の複雑さに於て捕え」なければならぬと云っている。その一例と
前へ
次へ
全17ページ中10ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング