カ大統領選挙の話題が浮びあがってくる。あれほど共和党デューイ当選確実とおもいこまれた一つの原因は、アメリカの世論調査所がどこの調査もデューイ優勢を告げたからだった。半官的なギャラップ博士の米国世論調査所の示したこのたびの失敗は、世界の世論調査法に大きい教訓となった。ギャラップの世論調査所員の大多数は女子で、アンケートの送りさきは彼女たちの任意とされていた。彼女たちが労働者や下層民をさけたために、民主党を支持する人民層の意見が反映しなかったのだろうと、東京新聞で小山栄三が書いている。
ギャラップの世論調査所に働いているのが女子だったから、アンケートの送りさきが限定されたのではなかった。彼女たちが、資本主義の社会のなかで働いて生きる婦人として、はっきり自分たちの存在の意義や生活の本質を理解していなかったからにほかならない。彼女たちの職場と個人個人の生活の雰囲気が、タフト・ハートレー法案にたいしてなんの反対も感じず、アメリカ人口の二パーセントを益するにすぎない所得税法に無関心であり、彼女たちの感情が非アメリカ委員会の活動ぶりに民主的市民としての疑問をいだいていなかった結果であった。
なぜ
前へ
次へ
全15ページ中10ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング