将来を決定する条件ではない。
わたしたちの一票は、おととし以来、わたしたちの生活のなんのたそくになったろう。わたしたちの一票は、おとぎばなしの欲深爺の背負ったつづらのふたをあける役にだけたったようでさえある。まさかとおもい、どうやらこれならとおもって一票を入れた社会党、民主党、民自党、びっくりばこのようにそのふたがはねあがったら昭和電工、相つぐ涜職事件で日本の民主化は、瓦石をかぶった。ゆうべ、花束をもって国会を訪問した全逓の婦人たちの話が放送された。公務員法案に賛成の議員はこのつぎに選挙しないため、目じるしの花を非賛成の側にある議員の胸のボタンにつけるためであった。日本でも、ボタン・ホールの花が、働く人民の意志の表示につながりはじめたことはおもしろく、うれしい。[#地付き]〔一九四九年一月〕
底本:「宮本百合子全集 第十六巻」新日本出版社
1980(昭和55)年6月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
1952(昭和27)年1月発行
初出:「女性改造」
1949(昭和24)年1月号
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