れました。ところが、現実はどうでしょう。親にまかせ、夫にまかせていてよかったはずの女の人生は、今日、ずっしりと女一人の肩にのしかかっています。考えて、理屈をいっている時代でないと、食うためにだけ計画性をもつとすれば、面白いことに、食うための計画性そのものが、社会的な計画性と一致して来てしまいます。正業に従っている限り。だって、そうでしょう? 千八百円ベースが公称二千九百円になれば税率も高く、いろいろの給与が包括されてしまって、若い人は結局千八百円よりかえって少ししかとれなくなるのですから。
同じ婦人民主新聞に、G・H・Qの労働課長シュークリフ女史が、今年義務教育を終った十三万人の女の子の就職について語っている親切な忠告を見くらべると、深い感情にうたれます。シュークリフ女史はいっています。日本の紡績工業者は、新卒業子女の大部分に当る十万八千三百六十八人を就職させようとしているが、日本の紡績工業界は永年、少女たちを搾取する傾向で世界に有名である。このような封建的な思想を違法とするいくつかの法律がきめられたが、少女たちも親たちもそれを知らない。知っていても、よく理解していない。今年の新卒業
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