心ひとつ
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)過《あやま》った

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九二一年二月〕
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 是非を超えた最後の手段として離婚は認めなければなりません。内外的原因によって過《あやま》った結婚をし人間としてその異性との生活が、救済の余地無い程の破綻を生じた場合、より以上の不正、人格的堕落を防止する為には、強制的、又相互的離婚を決行するよりほかありますまい。
 従来の誤った結婚観念、習慣、制度を改正し、簇出しつつある多くの不正、不幸を取除くために正当な離婚法が制定されることは急務です。然し、究極に於て各人の叡智と愛との根源に還る問題ではありますまいか。
 人類の最も本質的な、最も純粋であるべき結婚、離婚の問題を、最初に而して最後に決する事は心です。心の如何による丈です。[#地付き]〔一九二一年二月〕



底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年7月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
初出:「東京日日新聞」
  
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