傍点]こそ、あまりに架空的ではないだろうか。八紘一宇の思想を否定することにからめて、日本の人民男女の良心に立つ実際の行為を、浅薄な夢とすることは、決してあたっていないし、善意的でもない。こんにちでは、八紘一宇という言葉をひきあいとして平和への人民の意志をけなすそのことが、一九五〇年代の日本の変質した八紘一宇の姿である。
わたしたち婦人のすべてのよい意志、愛らしい希望、聰明な奮闘、愛のいそしみは、一つの原爆のもとに、とびちらされるのだ。婦人のもっているあらゆる実行の能力、心情と理性をつくして、きょうの歴史の頁の上に平和をもたらすためにたたかってこそ、わたしたちの生命そのもの、愛するものの生命そのものの、人間の可能がまもられてゆくのである。[#地付き]〔一九五〇年十二月〕
底本:「宮本百合子全集 第十五巻」新日本出版社
1980(昭和55)年5月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十二巻」河出書房
1952(昭和27)年1月発行
初出:「現代女性十二講」ナウカ社
1950(昭和25)年12月発行
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