「いやんなっちまう、せっかく行こうと思えば」
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うらめしそうにその字をにらみながら千世子は迷った様な様子をして立って居た。
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「止めよう、こんな気持で行ったって何が出来るんだ」
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なげつけた様に云って又西洋間にもどった。歩きながら、
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「阿母さんが、『お前はいくじなしだよ、ほんとうに一寸も我まんがない』っておっしゃるだろう」
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こんな事を思って妙な笑い方をした。
Hのわきに腰をかけて何のわだかまりもない様にスースーと引けて行く線を一日中見て居た。出がけに父親が、
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「人間は頭だって……しっかりせんけりゃあいけない、体を大切にするんだよ」
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と云いながら千世子の頭をかかえた事がいつもの事でありながら千世子にはやたらに思い出された。
何となく気弱な様な自分の心を引きたたせ様引きたたせ様と千世子は骨を折った。
その日は話のたねのつきた様に目黒行の事ばっかり云って居た。
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「又いかないんかい、いけな
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