てもらって来たんですよ、そいで貴方にきせてあげたんですよ」
「ヘエ……」
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 気分のはっきりしない千世子は気のない返事をして居た。だまって羽根ぶとんの影の多い赤い色を見て居るうちにやたらにすきだらけの様なかたい淋しい心持になって涙がにじみ出して来た。
 Hはまだ千世子を見つめて居る。その眼からさける様にそっぽを向きながら、頭の髄からしみ出る様な涙のこぼれるひやっこさを感じて居た。男の前で涙を見せるなんかって云う事は千世子のきらいな事である。けれ共身動きも出来ないほどわけのわからない感情がたかぶって来た。頭をたおしてクッションの中にうずめた。柔かい中で、頭はガンガンに鉄の玉の様になってた。
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「どうしたの?」
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 低いしずんだ声でHはきく。眼の中に涙の光って居るのを千世子は見つけた。それをどうのこうのと云うだけの余裕は千世子にはなかった。
 Hは足の先を見て部屋の中を歩き始めた。幾度も幾度も廻ってから暗い方を向いてHは祈り始めた。うつむいて胸に手を組んで祈って居る様子を千世子は涙にぬれた眼で見つめた。Hが祈りをやめた時
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