こから1字下げ]
「今だからこんなにしても居るんだけれども、もう四五年も立つとまた私のきらいな声や形になって私にいやがられる様な子になっちまうんだろう」
[#ここで字下げ終わり]
 こんな事も思って居た。
 達ちゃんは大した目的がある様に一本ずつ花を摘んで行った。両手にあまるっくらいつみためた時達ちゃんははにかみ笑いをしながら、
[#ここから1字下げ]
「これみんなあげましょう、――随分沢山になった……」
[#ここで字下げ終わり]
と云って千世子の腕の中にうす紫の雲の様な花束を抱えこませた。
 千世子は手がつかれた様に感じるほどの花をかかえて達ちゃんと並んで先に来た道から又もどった。
 丘の所にせまくつくられた豌豆の畑の、白い蝶の様な赤いリボンを結んだ様な花のどっさりついた一つるを根からとって千世子のも一つ別な方のうでにかけてやった。達ちゃんがいろいろと千世子に親切にしてやりながらも、
[#ここから1字下げ]
「この人は私はどんな人だと思って居るんだろう、いつまでも覚えて居て可愛がって呉れる人かしら、私をあんまり子供あつかいにして居すぎる」
[#ここで字下げ終わり]
とこんな事を思って
前へ 次へ
全192ページ中151ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング