ネエ、サッパリしたろう顔色がよくなった」
[#ここで字下げ終わり]
 母親は父親と顔を見合せて笑いながら千世子の髪のへこんだのをふくらしてやったり、袂のはなればなれになったのをそろえてやったりして居た。
 女中は小さい弟に干アンズをパンの間にはさんでこまっかく一口にたべられる様にきっては口に運んで居た。それをあどけない目差しで千世子は見て居た。母親達はこないだっから問題になって居る玉川の地所の事や、持主のあこぎな事やら仲に立って居る男の半間な事やらを笑い合って居た。
 その話をきき本と景色も弟のパンをたべるのをも見してまとまらない散り散りの気持で千世子は停車場に下りるまで居た。
 停車場から連絡して居る湯本行の電車にのった時千世子達より前にのって居た小田原の土っくさいお話にもならない様な芸者が三人ほど居た。そういうものにむかうといつもする通りに千世子は又女王の様なきどり方をした。一足はこぶにでもいかにも都にそだった娘らしく又つき合になれた女の様に様子をととのえた。
 三人の女達は愚かしいみっともない目で千世子のツンとした着物の着方だの髪の結い方だのを見た。そうしたあげく、千世子のもうと
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