日にうんと盛にやって、その勢で大晦日正月は越しちまうんだ。
――だって、お前、ソヴェト同盟じゃ、あんなにプロレタリアートの階級意識を眠らす毒薬として宗教撲滅運動やってるじゃないか、見たよ、ソヴェトで出してる面白い絵入りの反宗教雑誌を。
――確にそうさ。ソヴェト同盟のその運動は革命当時から着手されていた。ところが一九二八年の復活祭、降誕祭の時分はまだそういう祭りを相当賑やかにやってたんだ。……ところでこれを見たか?
――はじめてだ、何だい、この赤、緑、黄色の点ポツポツは。
――愉快だぜ、ソヴェト同盟は一九二九年の秋から暦をかえちゃったんだ。一九二八年――二九年の経済年度からソヴェトでは生産拡張の五ヵ年計画にとりかかった。
――そりゃもう知らない者ないよ。
――この五ヵ年計画って仕事は、ソヴェト同盟がヨーロッパ資本主義国の生産に追いつき追い抜こうっていう、大した計画だ。アメリカやドイツの学者は、そんな計画が五十年間に実行され得たとしても驚くべきものだ。それを五年でやるなんて? またボルシェヴィキの気違いがはじまったって嗤《わら》ったもんだ。ソヴェトのプロレタリアートだってやさし
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