社会主義建設にヨーロッパ、アメリカの資本家はどんなにヤッキになってるか。それは公正で紳士的(?)だと云うのを表看板にしているイギリスの第一流新聞タイムスが、書いてることを見たって分る。そのことも階級的立場からはっきり知るのだ。
 ――ほかに鬱《うさ》はらしのしようがなかったんだな、きっと。
 ――それも一つだ。その時分、お前、東京で云えば銀座みたいなところを降誕祭や復活祭の時労働者は歩いちゃいけなかったんだぜ、劇場だって入れなかったんだ。
 ――それどころか学校もだろ?
 ――そうだ。搾取者はその専制に対してプロレタリアートが階級的団結の下に立上る、うかうかしちゃいられないんだ。
 ――そうだとも。男だって女だってプロレタリアートなら、ボヤボヤ炬燵《こたつ》にもぐって正月してるものはないさ。
 ――一九三一年は一つ俺たちの暦でやろう。[#地付き]〔一九三一年一月〕



底本:「宮本百合子全集 第九巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年9月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本「宮本百合子全集 第六巻」河出書房
   1952(昭和27)年12月発行
初出:「戦旗」
   1931(昭和6)年1月号
※「――」で始まる会話部分は、底本では、折り返し以降も1字下げになっています。
入力:柴田卓治
校正:米田進
2002年10月28日作成
青空文庫作成ファイル:
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