小林多喜二の今日における意義
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)藉口《しゃこう》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)天皇制ファシズムのくびき[#「くびき」に傍点]の下に
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 小林多喜二全集第一回配本を手にしたすべての人々が、まず感じたことは何だったろう。これで、いよいよ小林多喜二の全集も出はじめた。そのことにつよい感動があった。つづいて、小林多喜二全集の編輯は、実に周密、良心的に努力されていて、ただうりものとして現在刊行されている各種の全集類とは、まるで趣をことにした実質をもっていることを、当然のことながら新しい意義でそれぞれの心と行動の上にうけとる思いがある。直接編輯にあたって、解題を書いている手塚英孝は、小林多喜二がプロレタリア文学の領域に活動した時期、最も親しい仲間の一人であった。小田切進は、小林多喜二をふくむ日本の人民解放運動とその文学運動の成果を最もよく今日と明日の歴史の発展のうちに生かそうとしている若い世代の代表である。小林多喜二全集は、世代の発展的意欲の表現として、思いもかけない人々からの協力をう
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