な新鮮な政治の理解に立ち、自分たちの日常の生活処理にかかわることとして政治的成長を遂げてゆくことは、決してたやすいことではないと思う。
 隣組ができて、そして物資の問題が切迫するようになって来てから、婦人の政治的関心が高まったということも聞くけれども、「贅沢は敵だ」というような標語をその文字の意味で理解するようになったというのが、婦人の政治的成長というのは、あまり、安易な解釈と自己弁護であろう。
 成長をうながす一つの方法として、一部では隣組に主婦会をおいて、主婦というものを一つの職能として上部の組織へも代表を送り出して発言する可能をつくろうと考慮中らしい。
 主婦という立場を職能とみるべきであるという考えは、日本の新体制からはじまったことではなく、社会施設の完備を目ざしている国々ではドイツでもソヴェト・ロシアでも、主婦の仕事を社会構成上の一職能として評価している。しかしながらきわめて興味あることは、そのようにして主婦に職能としての社会的評価を明らかにしているところでは、そのような婦人に対する社会的評価そのものからみな選挙権その他市民としての政治力を認めていることである。
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