盟です。
 二階から、今度はズッと降りて半地下室へ出かけた。ここには炊事場、フロ場、洗濯場、裁縫場などがあります。
 炊事当番の少年少女が、太って大きい炊事がかりの小母さんの手伝いをしてアルミの鉢を洗っている。小母さんは、漏れ手で元気に働いている子供たちを示しながら、
「どうです? ソヴェトのピオニェールは! 理屈を頭で知っているばかりじゃないでしょう。よくみんなのために働く手を持ってるでしょう」
 実際そうだ。が、ひとつ、ぜひ澄子さんに云ってよろこばしてやりたいことがある。
 澄ちゃんは「兄さんたら、僕男だからいいんだよって、何にもしないで、遊びに出ちまうのよ」ってよく不平を云いますね。あれがね、ソヴェトの世の中になると、ないのよ。男の子だからって、ブルジョア国のように威張ることなんか決してない。みんながしなければならない仕事はみんなで、男の子も女の子もやる。
 洗濯、縫物なんて女の子だけの仕事みたいに思われているが、ソヴェト同盟のピオニェールはそれを男の子もします。
 そのやりかたがまた面白い。
 同じ十三でも男の子の十三は力があるから、この「五月一日の子供の家」では、男の子が洗濯物のアイロンかけをやることになっている。
 つまらない繕いものは年上の女の子が当番でやる。私たちが裁縫室へ入った時は、五六人の女の子が、シャツのボタンをしらべ、落ちたのをつけていました。
 さあ、また、玄関わきの客間へ戻って来た。ここには、壁新聞やピアノや、この前ハンガリーの共産青年同盟員が訪ねて来たときみんなでとったという写真や、シュロの植木鉢などが飾ってある。
 あっちこっちの隅で、本をよんだり、学校の宿題をやったりしている一隅で、わたしたちは長い間、ピオニェールたちと話しました。
 みんなずいぶん日本にもピオニェールがあるかどうかということを知りたがってきいた。
 学校はどんなか?
「子供の家」がやっぱりあるか?
 この「五月一日の子供の家」をどう思うか。
 小さい子供は「日本にも飛行機がある?」ときいて、大きい子に笑われたりした。またもっともっと、政治的な大人らしい質問をしたものも沢山あります。
 日本にも「子供の家」がある? ときかれて、実に私は感慨無量だった。
 ブルジョアの子は、学校の行きかえりにさえ自動車にのり、好きな犬までそばへつけてヌクヌクと育っているのに、プロレタ
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