すると、口をそろえてみんなが、
「わかりました!」
「わかったです!」
「わかりました!」
 またすぐ晴れ晴れとして、さア食事だ!
 スープの次には、ひき肉を入れて煮たジャガ薯が出ました。
 食べながらの話。――
「あなたがたピオニェールなの?」
「ええ。でもピオニェールでないのが一人いるわ」
「どうしたの?」
「ついこないだ『子供の家』へ来たばかりで、まだピオニェール分隊へ属さないんです」
「先生はアンナ・ドミトリエーヴナのほかに何人ですか?」
「もう一人です」
 するとわきから、ミソッ歯で金髪の少年が、
「おや、あなたわたし達のドゥーシャに会わなかったんですか」
「ドゥーシャは、このひとたちの来る前にもうリョーリャの見舞いに行ったんですヨ」
「リョーリャって誰です」
「やっぱり子供の家に住んでいる子供です。病気で今病院にいるんです」
 少し年上の、落着いた少年がつけ加えて説明しました。
「僕等は勉強は学校でするし、用事は委員会でやりますから、僅かの指導者だけで十分やって行けるんです」
 食事がすむと、いよいよ「子供の家」の見学です。さっきの三人の当番とわたし達、それに用のない子供がつながって二階へのぼり、
「ここが女の子の寝室です」
 ドアをあけられた室はカラリと広くて、日がさしている。窓のすぐそばに白樺の梢が見える。キチンと毛布でつつんだ寝台が四側に五つずつ並んでいる。
 もう一つそれより小さい女の子の寝台があって、その先が大広間です。ブルジョアが住んでいた時分はここでダンスでもやったのでしょう。今はレーニンの肖像が飾ってある。寄木の床です。
「集会はいつもここでやるんです」
 通りぬけた先が男の子たちの寝室です。こっちも仲々キチンと片づいています。が、面倒くさそうに突っこまれた枕が毛布の下から半分はみ出ている寝台もある。子供たちはそれを見ていろんな冗談を云い、笑う。
 ソヴェト同盟では、ほんとの男女共学です。学校の教室で机をならべて男の子と女の子とが一緒に勉強するばかりではない。寄宿舎だって部屋が違うだけで、一つ建物です。大学だって、そうです。だから、どんな男の子、女の子かということはよくお互にわかる。学校でだけスマしていたって、だらしない子なら、お互によくその欠点もわかる。男の子も女の子も一緒だから淋しくないし、お互によくなろうとするし、さすがソヴェト同
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