供は学校が退けてから落付いているところがないんです。親は留守だし。みんなここへ来ます。ここはここでいろんなクルジョークがあって、この壁新聞もそこで出してます。
 四つの、樹や鳥の絵で装飾された室が、別に学齢までの幼児のために設備されてある。小さい清潔な白塗の椅子テーブルが、水鉢の上で芽をふきかけているいろんな球根ののった窓のまわりに配列されている。今ここに子供はいない。
 ――お母さんが少し長い時間買物にでも出かけなければならない。すると、ここへよって小さい子供をあずけてゆきます。
 ――本ものの幼稚園の仕事ですね。
 ――母親と子供のためにこれは必要だし、我々にも必要なんです。――子供のための仕事は生きてる子供対手でなしには一歩だって進み得ませんからね。多くのおかあさんがここへ来て始めて子供のために買うべき絵本の見わけかた、質問の答えかた、お話しのしかたを知りましたよ。
   ┌───────────────┐
   │子供をぶつな※[#感嘆符二つ、1−8−75]       │
   │  ぶつ前に子供の友[#「子供の友」に丸傍点]に相談しろ│
   └──────────────
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