! たまらない。
ターニャは自分でふき出しながら、ほっぺたの上から金髪をかきのけた。
――でも、みんないい青年たちなんです。СССРに労働科《ラブファク》で勉強してる若い男がみんなで今(一九二八年)五万人ばかりいます。みんなソヴェト国家の為に何かする人間です。ルナチャルスキーが云ってたでしょう?「ソヴェト国家にとって最も必要なのは今|労働科《ラブファク》で困難にうち克ちつつ学んでいる者達だ」って。
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(ロシア共和国内だけの労働科《ラブファク》に於ける女学生数は一九二七年一五パーセントだった。
全СССРで高等専門教育過程をふみつつある女性は二九・八パーセント(一九二七年)、世界文明国中第六位を占めている。日本は略第十一位だ。)
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また別な或る雪の日のこと。
ひと仕事すんだターニャが日本女の室で、かけてのまだない安楽椅子に腰かけ、青リンゴをうまそうにかじっている。
――くたびれた?
――すこうし。
二つめのリンゴにかぶりつきながらターニャはいかにもたのしそうに、たのしさから足でもぱたぱたやりたそうに云った。
――もうじき休暇
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