めの出版が、どうなって行くか。結果は明らかである。
民主的な文化教育は、架空にありえない。すべての人は教育をうけることができると憲法にかかれているというだけではどんな教育の民主化もない。その実際は、六・三制の混乱と、最近全国の専門・大学男女学生が教育防衛復興闘争の一環として立ち上りはじめた学問の自由と独立擁護および授業料ねあげ反対の大運動にもあらわれている。
学生のこういう意志表示を学生の本分にもとるという意見がある。しかし学生の本分とは何であろうか。学問がやってゆけないほどの月謝ねあげに反対しないで、どこに「教育をうけるべき」(文部省のことば)学生の本分の主張があるだろう。「放送の自由をまもり健全な発達を目的とする」放送法案が六月十八日に提出された。これまでの放送協会の仕事ぶりには、いろいろの批判が加えられなければならない。内部の運営が民主的でないこと、プログラム編成が低俗であり昨今は労働、農民、報道、子供のための放送にはっきり民主化からの後退が示されてきていることが世論にのぼっている。しかし、こんど上程された法案のように保守政党が占める両院の承認を経た五年間任期の五人の委員会を
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