三つの民主主義
――婦人民主クラブの立場に就て――
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四六年八月〕
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 これまでの日本の婦人は、よろこびも悲しみも自分のめぐり合わせとして孤立して生きて来た。そういう生活を、もっとひろい社会の動きの中に解放して婦人の生活を明るくつよく創造の力にみちたものにしてゆくと共に日本の民主社会の健全な生長のために協力したいというのが、婦人民主クラブの初めからの希望である。
 僅か七八人の小さい集りとして発足してから半年ほど経った今日は、全国に数百人のクラブ員ができ、婦人民主新聞が発刊される手筈になったし、秋からクラブと特別な関係をもつ雑誌も発行されるようになった。そして、私たちがまだ未熟で、クラブとしての運営の形も十分ととのいきれないうちに、日本の社会の事情は目まぐるしく前進した。そして、本当に婦人たちの自発的な気もちから生れた婦人団体というものが日本に殆どないために、新しい日本建設の一つの要素として多方面の接触をもつようになって来た。
 この事情は、クラブ
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