ヨーロッパ諸国では十七、八世紀頃よりブルジョアジーが階級として民主化の遂行者として現れ、市民社会をつくり、その任務をつくした。日本では、きのうまで半封建で、急に民主化がされなければならないから、ヨーロッパ歴史の二世紀ほどが飛んで、すぐ、日本の近代民主化の遂行者が勤労階級しかない現実があらわれたのである。おくれた国の歴史は或る時期に飛躍する。それが現実である。
順序をふんで民主化が行われた国であれば勤労階級が主体となって進む民主主義は社会主義的民主主義である筈である。が中国、日本は、そうでない。ブルジョア独裁の民主主義でもなく、さりとてプロレタリア独裁の民主主義でもあり得ない中国、日本の今日より明日へのデモクラシーを、新民主主義と呼ぶわけである。
封建のしきたりと無権利とに苦しんでいた勤労大衆、中産階級、知識人、婦人などの生活は実にこの勤労階級を主軸として進展する日本の新民主主義の完成がなければ、幸福は決して約束されない。婦人の解放などは実現しない。
婦人民主クラブは、日本の歴史の特長によって新民主主義を完成するのが日本人の真面目な唯一の目的であることを理解しなければならないと思
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