ょう。
具体的なことは一つも手紙にかかないで、第三者に判断をもとめることは、現実性にかけています。
具体的事情をよく考え、自分がもとめているのはどういう人生であり、また子どもの父であった人が、自分たち妻と子とをそのように暮させたいと希望していた生活はどういうものであったかということをじっと考えひそめて見れば、おのずから判断はおできになると思います。
あなたの場合、問題の核心は、むしろ女の感情というより、もっとデリケートな情感的な点にあります。
その点の問題を、そと側の「家」の問題だの新民法だのと、いわばことよせた理屈ではなすと、問題がずれて、正直にこころもちを追求して解決する人間としてのよさ[#「よさ」に傍点]が失われます。
三
このC子さんのお話をよんで、わたしは失礼ですが、これは事実なのだろうかと思いました。なぜなら、C子さんのお手紙だけで判断すると、C子さんは、東京で戦災にあった実家の両親や弟の消息をしらべるのに、何とあっけなくあきらめているでしょう。引きあげて来て、家族が戦災にあっていたとき、その消息をたずねる人の努力と熱心は実に何とも云えず熱
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