、A子さんがその面での経済的負担を負うなら、事情は複雑ながら結婚できないことはないし、それについて、当然の義務を果さないH家の人々が一言も批判するよりどころはないと思います。
 しかし、A子さん、A子さんの親、Y氏、それぞれが真面目にA子さんの新しい生活の立て直しについて考え、その実現をのぞむのなら、H家、A家、A子さん、Y氏みんなが集って、最も妥当な方法でH氏の母親の身の処置について協議すべきです。
 嫁だから姑の世話をしなければならない、というだけで、全責任をA子さんにおわせるとすればH家の人々の態度は間違っています。旧い親子の義理がH家の人々と後ぞいの老婦人との間にないとして、嫁であるA子さんにだけその義理を強いるのは間違いです。
 待たずに結婚するように打開されるべきです。

          二

 あなたが、お兄さんからすすめられた方に心よりも体でひかれてゆきそうであり、Eという前からよく知りあっていた従弟の方には親しすぎて良人にしようとおもえない、というところが、微妙な心理だとおもいます。
 結婚というものが、肉体の問題を根底にもっており、結婚生活の経験があり、成熟期の
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