所へいってみても、若い婦人の姿をかならず見受けます。
 若い人々は、封建的な日本が民主的な日本に生れ変わろうとするならば、本当に民主的ということは、どういうことなのか、そういうことも知って自分達の明日を明るくしっかりと打開いてゆきたいという熱心な希望を持っています。本当にこれまで十何年かの間日本の私達は何と本当のことを知らされずに来たでしょう。自分達の愛する者の生命にかかわる戦争の真実の姿さえも知らず、国際裁判の記録ではじめて自分達の辿って来た運命を発見する始末です。ですから、働く婦人が、たった一人の実際の要求――例えば、同一労働に対する同一賃銀という誰にとっても切実な要求――を真から解決しようとすれば、結局社会における生産と婦人の歴史的な関係、将来の展望をしらなくては心もとないという心持になるのは、自然でしょう。そういう勉強をしたい若い女性達はこの頃、学校を開いたり、自分達の職場の中で、集会を組織したり音楽や演劇、文学の研究会や同好会をこしらえています。
 労働組合というものは、働く人の生活の全面にわたる幸福を、たかめるためにあるのですから、待遇改善の要求ばかり出すだけでなく、文化部
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