ている若者の方が、どれだけか多かろう。
つい先夜も、玉の井あたりの小路をうろついていた若いものたちが二百何人か説諭をうけた写真が出ていた。そういう忠告も、勿論意味がある。けれども、忠告を与えている人々は、例えばテニス・コートなどが、工場の若い人たちのために夕刻から夜へ開放されていないという事実を、どんなに考えているのであろうか。
してはいけない、という面のことは細々と示されていると思う。それは示しやすい面である。若いもの稚いものが、一日の働きの後で何か求める体と心との渇えを、体と心との望郷を暖くみたしてやり、休めてやり生気を与えてやる方法は、真剣に誠意をもって新しい国民生活のなかに具体化するように努力されなければなるまいと思う。日本の未来を大切にするということを別に云い表わせば、青春の尊重ではないだろうか。
底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
1979(昭和54)年7月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
1952(昭和27)年8月発行
初出:不詳
入力:柴田卓治
校正:米田進
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