らです。
 日本において、階級対立は激化しつつある。プロレタリアとして十分自覚を持たずプロレタリアの革命を知らない労農大衆でさえ急進的なインテリゲンチア、小市民を含んで、自然発生的に搾取と横暴に反抗しつつある。その度はますます高まるでしょう。このような社会的条件のもとにいよいよ広汎に生れるまだプロレタリア的とはいえないが急進的革命的傾向をもち、その方向へ発展する要素と要求をもつ文学活動家に、より明確に現実を把握させ、掘り下げる方法を獲得させプロレタリア革命の現実的根拠の見透しにたって、その組織と創造活動を高めてゆくためには、具体的に、大衆活動の中でプロレタリアートの主導性の貫徹が、されなければならない。ここに、社会主義的リアリズムの問題がわれわれの過去の活動の再検討を召致した契機が存在すると思います。
「ラップ」の発展的解消、単一なソヴェト作家同盟組織委員会の結成、および創作方法における社会主義的リアリズムの問題の提起は、一部の人々によって誤解されているように、インテリゲンチアへの追随でもなく、抽象化され超階級化された技術偏重論でもない。ましてや階級性、革命性を抹殺した卑俗現実主義の大
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