どうでしょうか。科学が一つの歴史的情熱となっているソヴェトと比べて、日本の科学はどんな扱いをうけているでしょう。知能労働者はこちらでは休みの家もなく、業績に対して社会的保証がありません。社会主義的民主主義の社会では、文化の仕事に従う者が、知能的労働者として非常に多くの社会的保証を受けていることは、やはり今私たちのまわりにある文化よりは、文化の正しいあり方だと思います。勤労者のいろいろな才能ののばされてゆくモメントも、資本主義社会の偶然性よりはひろい確かな公共的地盤をもっています。独占資本の独裁、商業主義の独裁のもとにおける文化の悲しむべき境遇について、ロマン・ロランが闘ったように、アインシュタインが闘いつつあるように、私たちは闘わねばならぬと思います。これが当面の任務です。
社会主義社会での文化の諸問題――わたしとしては文学を主に考えますが、現在のところ世界各国は、社会主義国の文化の画一性を批難することが好みにあっているようです。しかし、この問題もいろいろ興味があって、人類社会のプロセスの一つとして、ある一つの社会成員が、ワンダ・ワシリェフスカヤの「虹」のような生存防衛の意識に、自発
前へ
次へ
全15ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング