私の感想
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)竦然《しょうぜん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)目黒のさんま[#「さんま」に傍点]という愛すべき日本の落語は
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        一 婦人と科学

「日本の科学」ということがこの頃世人の注目をひいている。あらゆる文化はそれぞれの国の歴史や社会の今日おかれている条件などにつれて特徴をもっていることは当然である。したがって科学や文学にしろ、その頭に、どこそこの科学という文字をつけていわれることは自然なことであると思う。
 今日の日本は、画期的な転換の時期におかれていて、その発展のために生活のあらゆる面で科学性が重要になって来ていることは誰しも感じていることであろう。新しく科学工業の学校なんかもどしどしできる様子であるし、若い息子もその親も、未来の方針を技術家にきめれば大丈夫と思う風潮も大きく支配しているだろう。
 優秀な技術家がどっさりできることは一つのよろこびでなければならない。けれども日本の科学の真の発展向上の推進力としては科学上の技術家がふえるばかりでなく、科学
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