として外部にある学課、ことに数学その他が十分若く不安な精神を掴みまとめる魅力をもっていないことからも、凌ぎにくいものとして経験されるのだと思われる。
十五位のときよんだモウパッサンの小説の中で、若い女主人公が草原にねころんでファブルの蟻の生活を観察した文章を読んで貰って聴いているところがあった。私がファブルの名を知ったのはそれがはじめてで、大正のはじめのその頃は恐らく訳も完成されていなかったのだろう。それから間もなく「宇宙の謎」を読んだときの一種の輝かしい感銘は、その本の内容を忘れてしまった今日も、猶鮮やかに心に刻まれているのである。
[#地付き]〔一九四一年五月〕
底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
初出:「科学ペン」
1941(昭和16)年5月号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
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