幸福について
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)騰《あが》った

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四六年五月〕
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 私たちが日頃、一番求めているのは、何かといえば、それは幸福であるとおもうのです。
 あなた方は、みんなお若い方たちでいらっしゃるし、毎日生きていらっしゃる限り希望というものを、どこかに追求していらっしゃる。家庭で食べもののこまかいことをいう時もございましょうけれども究極するところは、やっぱり幸福に生きて、幸福に働いて、そして一生を終りたいというお気持だろうとおもいます。私などもそういう気持は非常に一貫してもっているのであります。
 人間というものが、昔から、その幸福を求め、どんなにして生きて来たかということをおはなしして、それから今日私どもが幸福に生きるために、明日幸福に生きるために、どういうふうな問題がその前途にあるかということを、簡単におはなしして参りたいと思います。

 御承知の通り、社会というものは、今のような形ではじまっておったのではありません。極く野蛮な時代が、ずいぶ
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