いうような事柄は大きい問題だからそれが働く人に関係のある事なら男の組合員がなんとか決議してくれるだろうし、政府もまさか日本のみんながドレイになる様な事は出来まいと考えているとすれば、あんまり、あま過ぎます。吉田首相は去年の秋頃、読売新聞の馬場社長と対談の中で、日本の将来について、先ず「外国人の安住の地に」したいと云う意味の事を話していました。(国内では何万の人々を首切りながら)私はその一言がどうしても忘れられません。日本は日本の人民の祖国であり、皆がそこで真面目に働いて、愛する土地での生活を美しく、人間らしくしたいと願っているのです。
 講和の出た去年の十一月下旬、新聞が集めたアンケートでは面白い事に、警視総監のような政府の役人と株屋と徳川夢声等が単独講和でも早いほうがよいという回答をしています。そして石川達三、石坂洋次郎、丹羽文雄、その他の作家や学者のある人は、全面講和でなければいけないと主張しています。
 実際に世界の平和と日本の自立の為には、日本管理に関係のあるソヴェト同盟、中華人民共和国、その他オーストラリヤ、イギリスその他の国々の同意がなければなりません。
 私達はうっかりし
前へ 次へ
全5ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング