と云う事、そしてそれに対する抗議さえも奪われたと云う事に対して忘れる人がない様に……
 中国が人民共和国になったという事はアジアの婦人達みんなにとって、まったく人ごとではありません。何故ならこうして新しい社会に生きられる様になった中国人民、婦人達こそ、日本の人民が婦人が帝国主義の戦争によってどんなに苦しめられ、そして今も尚買弁的な政府のもとで不幸を解決されずにいるかと云う事を真に理解し、同情する事の出来る人々です。
 彼女達の処にも不安定な条件は大きくあるけれども、もう一日一日と生活を向上させてゆく目あてはハッキリつきました。
 私達はこの地球でもっとも広い地域を示している新中国の人民の勝利を、ただ「いいわね」と云って眺めたり、やたらにノボセタリしてはいられないと思います。
 一九五〇年の私達の課題は日本が全面的な講和によって、次の戦争に利用する事の出来る従順な八千五百万の住民と云うノロワシイ条件を克服しなければなりません。
 私達は優しい日本の心、素直な女のものわかりよさと云う、オアイソに乗って、自分達の上に実際に影を落しているものがなんであるかを考えもしないでいては大変です。講和と
前へ 次へ
全5ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング