識階級」に傍点]として独立した単位でないことは、知識人こそその知識を何かの形でいずれかの階級のものとして表白し且つ役立てている実際を観て明かに肯ける事実である。一人一人のインテリゲンツィアがこの社会のどういう階級に属しているかということは、「その出身階級の如何を問わず、現在の彼の全実践によって決定されるものである。従って彼がなそうとする仕事の階級的意義の如何によって逆に彼の階級的所属も、またその属しかたの性質も変化してゆく。これは明かなことのようであってしかも忘られがちなことである。」現代社会には「ブルジョア・インテリゲンツィアもあり、また小ブルジョア的・地主的・プロレタリア的な夫々のインテリゲンツィアが存在しているのである。」そして、このような現実の差別は、既に述べられているように、社会情勢・階級間の力の関係等によって二六時中動き分化しつつあるものなのである。(引用、窪川鶴次郎「インテリゲンツィアの積極的精神」)
この社会的事実は、一定の文学組織の有無にかかわりなき一箇のリアリティーである。
私達の生活している現実が右のようであるとすれば、文化・文学を正当に発展せしめようとする忠
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