倦蜍ウ授一〇人に対して各大学研究所から僅か五人の委員が選出されているばかりである。工学部門も理学部門にも同じ現象があらわれている。世話人会は解散し、第一回学術体制刷新委員会が一九四七年八月首相官邸で開かれた。第二回総会では運営の方法、地方との連絡、体制に対する提案の処理などについて討議が始められた。
このようにして学術体制刷新委員会は発足した。しかしこの委員会が学術の民主化のためにどれだけ積極的な熱意を示すかということについては一般からするどい監視を受けている。何故ならばこの委員会も従来の学閥ギルドそのままの選挙母体から選出されているからである。経済部門ではいくらか具体的に民主化が行われて民主主義科学者協会から選出されている人もあるが、法学でも歴史、哲学の分野においても古い長老教授が重要な位地を占めている。民間の新しい有能な研究者、私学の優秀な学者などは無視されている。官僚統制風なこの長老的ギルド的委員会を内外の力によって民主的な本質におきかえてゆくことが重大な課題である。
この委員会が日本における学問研究の自由と思想の自由のために何処まで実力ある刷新を行うかということも注目されて
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