K会、公民館運動、リクリエーション運動などに努力してきている。婦人の民主化のための努力もされてきている。しかし全般的傾向をみると、すべてこれらの成人社会教育の方向はいってみれば人民の自主的な民主的発展に対して一定の柵をこしらえる任務をもっている。リクリエーション運動の指導は地方警察と連絡すべしというような反民主的な本質をもっている。
片山内閣は吉田内閣から引きつづいた非民主的社会教育方針に加えて耐乏生活、挙国一致、生産復興等を中心とする新日本建設国民運動や新生活国民運動などを官僚行政の線を通して行おうとした。新日本建設国民運動の提案懇談会の際、「民間人」と称する代表者の中に元治安維持法関係の役人が参加していたことは会の本質を語るものとして注目された。片山内閣はこれらの統制的な社会成人教育の方向を示しただけで総辞職した。
政府の関心は思想としての社会成人教育にあって戦争による不具者の職業的再教育は放棄している。復員軍人、引揚者の職業再教育が全くみすてられていて社会悪の発源地となっているとおり、戦争による不具者の人間的再起がみすてられていることは日本の反面の限りない暗さである。戦争未亡
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