ヘ、日本の民主化された経済再建の具体的なコースの中の一部分であり、労働者の生活安定のための諸闘争こそ学生のチープ・レーバーを救い、働きつつ学ぶ社会をもたらすものと理解しはじめている。学生たちは、日本の勤労人民の一部として、自分たちの運命を開拓するために必要なみちを発見しつつある。
 幼稚園教育 戦争中日本の幼稚園教育は殆ど潰滅した。現在大都市を中心として極めて僅かの幼稚園が復活しているだけである。一般主婦は子供を幼稚園にやって時間の余裕をつくり何かの内職をして千八百円ベースの困難な生計を補いたいと希望している。しかし幼稚園がかりに近所にあったとしても多くの親たちはそれを利用する余裕がない。昨年(一九四七年)四月一ヵ月三〇〇円費用がかかった。さらに母達の困難は子供の衣服の問題である。
 盲聾教育義務制 日本に推定一一万二〇〇〇名の盲聾児がある。百数十万人の近親者がある。一九二二年勅令で盲聾学校令が公布されて各府県毎に一校以上の盲聾学校を設置する義務を明らかにした。二六年を経過した今日、東京、北海道はその義務を果していない。少数の民間人の努力によって現在全国に一四九校、教職員一、二〇〇名を
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