カのために、約四万五千学級が新設されなければならない。五一万人の生徒が二部教授または借教室で苦しんでいる。小学校では、一七万人の教師が足りない。そのために一人の教師は、二倍の働きを余儀なくされている。中学校では、七万人の教師が早速補充されなければならない。しかし貧弱という水準にまでも達していない教育予算の中から、教員の生活を保証するだけの俸給に引きあげることは、不可能である。六・三制は、一九四九年度において全く混乱におちいることが予想される。
校舎不足のために地方では苦しまぎれに町村民に校舎増築費の寄附をさせているところが多い。その場合、地方のボスが多額の寄附をして、地方行政に対する自身の発言権を確保する実例が多い。そしておくれた地方の民主化が一層おくれさせられている。
教師不足はアルバイトを求める男女学生のために一つの職場を提供している。けれども学生たちは、この職場に対して疑問を持っている。同時に、やや年をとった女教師から不安をもってみられている。若くて代用教員であって、しかも英語の教えられる学生教師は、学校当局がより安い俸給を支払ってよいことになる。年をとった女教師は、こういう
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