。
このようにしてきわめて短期間に、日本の民主化の純粋性は失われはじめた。本質的に保守と反動の政策が民主化の道へ大幅に流れ出したのはどういう原因からであったろうか。このことはもちろん国内の根強い封建的伝統を決定的な理由としている。同時に金の匙から食べていた者は何時になっても彼等の金の匙を捨てようとは欲しない。これは世界共通の現象である。その上、七十年以上封建的な絶対主義と軍国主義に馴致され、最近数年は半狂乱の戦争熱であおられていた日本の人民にポツダム宣言を受け入れさせ、軍隊を解散し、敗戦を認めさせるためにはその半封建制そのものに利用価値があると考えられたのであろう。天皇がラジオを通じて敗戦を認めポツダム宣言受諾を宣言したことは、その一つのあらわれであった。一九四五年八月以後の混乱期に東久邇宮を内閣の首班としたのもこの方法の一つであったろう。日本の民主化と国際平和のために、日本における天皇制の利用がなお真実な価値をもっているであろうか。このことは、今日において、世界の良心的なすべての民主主義者にとって正しく判断されるべき課題である。民主的な占領政策の実現と日本の民主化を実現するために天
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