タな営利事業である経済的利益を守るために、第一期の活溌な民主化への協力的態度をすてて意識的に保守勢力に追随し後退した。一九四五年九月に発表された日本への「新聞紙法」―プレス・コードは日本のすべての新聞に報道の真実を守り民主的な新聞の責任を示した十箇条から成りたっていた。第三期に入ってからプレス・コードは日本政府の微妙な形での統制と、その時どきの政権にとって有利の方向へ輿論をおしながしてゆく便宜のために利用される傾きが明らかに見られるようになった。各新聞は、国際政経記事において貧弱である。諸外国の新聞の報道に遅れていることはもとより、報道そのものが往々「報道の真実」である客観的な国際現実をゆがめていることもある。戦争中の御用新聞であったときの習慣である卑屈さと、半封建的な権力への屈従の因習が清算されていない。そのために、民主国の大統領の写真や言説が、最近まで天皇を扱ったような時代錯誤的な取扱いをされたり、日本における連合軍の首脳者が、天皇のような半封建的空気につつまれて新聞紙上に扱われたりする場合もある。このような現象は、日本の新聞人の神経が外国の新聞読者にみられない屈従の習慣をもってい
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