A国際ペンクラブの基本的精神から遠くそれていることが認められるから。国際ペンクラブは一九三四年に、ドイツ・ペンクラブがヒットラーの焚書事件に対して抗議しなかったという理由で、国際組織からドイツ・ペンクラブを除名している。一九四六年の第一回大会においては、オランダ代表が提供した「対独協力作家の追放問題」が圧倒的多数で大会決議として採択され、ドイツ・ペンクラブの国際ペンクラブへの復帰は留保された。翌年の第二回大会で、ドイツの国際ペンクラブへの参加が可決されたのは、ドイツの民主的再建のために献身するドイツ文学者の実力が認められたからであろう。
 日本ペンクラブは除名されるよりも早く、自分から国際ペンクラブを逃げたということで、対独協力の責任をまぬがれてよいものだろうか。侵略戦争協力の責任によって最近パージにかかった林房雄、その他の作家を組織員としていることが、国際ペンクラブへの正式加入にふさわしい条件であろうか。海外へ紹介する日本の現代文学作品集の中から、戦争反対の立場を守りつづけた民主主義作家の作品をオミットして、戦争協力作家の作品を網羅していることが、正当な文化の国際連携を可能とし、海外
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